スタイリストとして5年ほど経ちパーマのお客様の割合もかなり多くなり、パーマ技術もかなり安定してきたのでパーマについて今まで学んできたこと・実践してきたことをアウトプットしながらまとめてみたいと思います。
僕の実績については »Profile ご覧ください。
・これからパーマを勉強しようとしている方
・パーマを勉強されている方
・なかなかお客様にパーマをオススメできない方
パーマの勉強をしたいけど何から手をつけていいの??
難しそうで手をつけられない・・・
今回はどこよりもわかりやすく解説するよ!
正しく分解して考えたら誰でも簡単にパーマをマスターすることはできるから一つずつみていこう!
このロードマップ理解して、サロンワーク・モデルさんで何回か実践すればパーマ初級者でもほとんど失敗はなくなります。
皆さんがこれから失敗する分、僕が先に失敗したような凝縮した・わかりやすい内容をお伝えできたらと思います。
パーマが上手くなるというよりパーマを失敗する原因をなくすことを目的に書いていいます。
毛髪の仕組みと基礎を理解してパーマ剤を選べれば、パーマで失敗しないことは意外と簡単です。
【1】毛髪の仕組みとパーマ理論
毛髪の仕組み
パーマはシスチン結合を還元剤(1剤)で切断して、酸化剤(2剤)で再結合させる。
美容国家試験でもやりましたが、髪の毛は3層になっていていてシスチン結合があるとされているのは第2層目のコルテックス部分。
このコルテックスはこんなこんな構成になっています。
アミノ酸の縦の集合体(フィブリル)
アミノ酸の球状の集合体(マトリックス)
そいつらが集結してマクロフィブリルになってマクロフィブリルが集結してコルテックスを構成してるといわれてます。
ミクロフィブリル?マトリックス?
・マトリックスは柔らかいタンパク質
・ミクロフィブリルは硬いタンパク質
これだけ覚えておけばここではOK!
Sー1結合、Sー2結合を理解する
パーマ剤の話をするとよくSー1結合、Sー2結合などと言われますが、いっていることは簡単です。
・マトリックスとマトリックスを繋ぐ結合 =Sー1結合
・ミクロフィブリルとミクロフィブリル(マトリックスも)を繋ぐ結合 =Sー2結合
毛髪診断
マトリクスは柔らかいタンパク質の結合で、フィブリルは硬いタンパク質の結合です。
・Sー1結合が多い髪の毛は柔らかいタンパク質の割合が多いため柔らかい髪質。
・Sー2結合が多い髪の毛は硬いタンパク質の割合が多いため硬い髪質。
※健康毛の場合
Sー1、Sー2結合の特長として、Sー1結合は柔らかいタンパク質の結合のため強度が弱い考えられ、対してSー2結合は硬いタンパク質の結合のため強度の強いという特長があります。
と今までは言われていましたが、最近は電子顕微鏡の進化で髪の毛のフィブリルの先、α-ヘリックスまで見えるようになり還元剤の反応はキューティクル付近でしかおこっていないということがわかっています。
新理論(キューティクル理論)
ここからが新理論。
専門学校などで勉強する毛髪化学のキューティクルの部分で触れたことがある方も多いと思いますが、下図キューティクルは3枚で1セットが何枚も重なっています。
こんな感じでエピキューティクル、エクソキューティクル、エンドキューティクルで一枚のキューティクルです。
これが
- 通常は5〜6枚
- 多い人で8枚くらい(硬毛)
- 少ない人で3〜4枚くらい(柔毛)
キューティクル間に18MEAとCMCがあり、CMC(油)がキューティクルとキューティクルを繋いでいるイメージです。
ここまではおさらいですが、上記で解説したSー1、Sー2はコルテックス内にあるかもしれないですが、実際に還元剤が作用しているのはキューティクルのここなんじゃないか?というのが新説です。
こんな感じでエピキューティクルとエクソキューティクルでエピキューティクルがSー2、エクソキューティクルSー1ではないかという説が有力そうです。
詳しくはYouTubeの新パーマ理論の動画にてお話しています。
パーマ剤の5つの要素
パーマ剤を使ううえで最低限、理解しておかなくてはならない5つの要素があります。
・還元剤
・還元値
・アルカリ値
・アルカリ剤
・pH
この5つをコントロールできればパーマに失敗することはほとんどなくなるよ!
【2】還元剤の種類・特性を知る
還元剤の種類
Sー1、Sー2を理解できたら、次はそれに有効とされる還元剤の種類を覚えていきましょう。
パーマ剤に使われる主な還元剤です。
・チオグリコール酸
・システイン
・システアミン
・チオグリセリン
・サルファイト(亜硫酸ナトリウム)
・GMT(モノチオグリコール酸グリセリン)
・スピエラ(ブチロラクトンチオール)
こんなにあるの!?
主に7種類あるけど、分類していけば簡単!
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ほとんどのサロンではアルカリ域でパーマをかけているので使っているパーマの還元剤が何かわからない方でも、使っている還元剤はだいたいこの3つです。
・チオグリコール酸(チオ ⁄ TG)
・システイン(シス ⁄ CYS)
・システアミン(シスアミ ⁄ CA)
酸性に特化した美容室でない限りこの3つだけ覚えていれば大丈夫!
還元剤の特徴を知る
チオグリコール酸、システイン、システアミンの特徴を解説していきます。
・チオグリコール酸
チオグリコール酸はSー1結合(内部)を切断するのが得意です。
カール形成力 ◯
・システイン
システインとSー1結合(外部)を切断するのが得意です。
カール形成力 △
・システアミン
システアミンはSー2結合(外部)を切断するのが得意です。
カール形成力 ◯
チオだけでもSー1、Sー2は切断できています。
その中でももっとも還元できていると考えられるのがSー1の内部ということです。
使っているパーマ剤の還元剤を知る
ここまできたら次は自分のサロンで使っているパーマ剤はどの還元剤を把握しましょう。
裏を見ればわかります。
ほとんどは上記の還元剤のどれかは入っているはずです。最近出ているハイブリットタイプのパーマ剤は、チオ・シス・シスアミMIXなど出ています。還元剤は単体で使うよりSーS結合に対して違うアプローチをかける還元剤を重ね付けしたり、MIXしたりすることが有効です。
一つの還元剤で強い薬剤を使うより、2つ以上の還元剤で普通の薬剤を使う方がパーマのダメージも少なくパーマのかかりもいい場合が多いです。
意識して組み合わせて欲しいのはSー1、Sー2に有効な還元剤を組み合わせるもしくは、もともとミックスされている薬剤を使う。
・チオ×シスアミ
・シス×シスアミ
知らないとチオ×チオで重ねずけしてしまったり、MIXしてしまっていることもあります。
そうすると還元剤での効果は△。
モリ
なんとなく薬の選び方がわかってきた気がする!
分解して考えていけば本当はパーマのケミカルはそんなに難しくないね!
薬剤の種類の選び方がわかったら次は薬剤の強さの選び方を考えていこう。
【3】還元値を設定
ここまでは還元剤の種類についてですが、ここからは還元剤の強さについて解説していきます。
還元剤の強さを表す指数、それが還元値です。
還元剤は薬剤によって還元値は違います。
還元力はリッジの深さに直結します。
還元値3でロッドの形状の約30%のカール形成力
還元値4でロッドの形状の約40%のカール形成力
還元値5でロッドの形状の約50%のカール形成力
くらいの体感でいるといいかもしれません。
希望スタイルのウェーブ率が出せる還元値があるパーマ剤を選択しましょう。
※ドライ時は5〜10%ウェーブダウンします。
還元力5の薬剤でも薬剤浸透がしっかりできていなければカールのリッジはロッドの20%出ないこともあります。
還元値がそのままカールになるわけではないの??
メーカーが出している薬剤の還元値は薬剤がしっかり浸透した時の最大のカールイメージで、薬剤が浸透していなければ還元値のカールは出せない。
次の項目アルカリ値でそれを解決していくよ!
薬剤浸透の問題を解決するのが次項のアルカリ値です。
【4】アルカリ値を使いこなす
パーマ剤の薬剤浸透の大きな役割をなすのがアルカリ値です。アルカリ性のパーマ剤には確実にアルカリ値が存在します。
パーマの失敗にも大きく関わってくるのでこの項目は要チェックです。
サロンで使っているパーマ剤のアルカリスペックがわかったら、こちらのカラーチャートに当てはめてみましょう。
これは僕の経験と新理論(キューティクル)を組み合わせて独自にアルカリ度の推定必要アルカリ度を考えてみました。
正直今まで通りでも全く問題ありませんが、髪の太さはキューティクルの枚数の影響も大きく受けそうなので一応加味して必要アルカリを考えています。
今まではカラーのアンダートーンに合わせてアルカリ度を導き出す方法を紹介していましたが、
アップデートバージョンは
- 毛髪の太さ
- カラーのアンダートーン
でアルカリ度を割り出していきます。
10トーンくらいまではアルカリ度は必要だと思いますが10トーンを超えてくるとほとんどアルカリ度はいりません。
ex
- 太毛:2
- 8トーン:2
- 必要アルカリ度:4=2(太毛)+2(8トーン)
こんなイメージです。
慣れてきたらダメージレスに近づける為にアルカリ度を少しずつ下げていこう!
モリ
髪の毛はダメージが進めば進むほどキューティクルの損傷が激しくなると考えられるので、髪の毛のトーンが上がれば上がるほど必要なアルカリ値は少なくなります。
必要以上のアルカリを使ってしまうとビビってしまったり、痛んだ質感になってしまいます。
アルカリ値はキューティクルという扉を還元剤を届けるために開ける鍵のようなものだと思ってください。
パーマをかけるには、
適切な還元剤の種類
希望カールの還元値の強さ
髪の毛に対してのアルカリ値
を意識して薬を決めたらいいんだ!
だんだんわかってきたね!
まずはここまで意識して薬剤を決めることができたら、パーマのクオリティはグッとく上がるはず。
ここからは先はさらにパーマに失敗の可能性を低くするための説明していくよ!
ここまでで使うべき還元剤、希望カールに対しての還元値、毛髪に対してのアルカリ値の設定を解説してきましたが、この時点でもうかなりパーマ剤については理解を深められたはずです。慣れてくればサロンワークでもここまでしか意識しなくてもほとんど失敗しなくなっているはずです。
これ以降はよりパーマを失敗しないため細かいポイントになりますので、頭に入れておくといいと思います。
【5】アルカリ剤の特性を知っておく
上記で説明したアルカリ値を保つために、アルカリ剤がしようされています。現在使われているパーマ剤には4種類のアルカリ剤のどれか、もしくはミックスで使われています。
・モノエタノールアミン:不揮発性
・アンモニア : 揮発性
・アルギニン:揮発性
・重炭酸:不揮発性
この4つにも特徴があります。一番の特徴は、揮発性か不揮発性かというとことです。
特性によってアルカリ剤が反応している時間も変わってきます。
<class=”sng-box box21″>
・モノエタノールアミン:ずっと
・アンモニア : ピーク7分 : MAX15分
・アルギニン : ピーク10分 : MAX15分
・重炭酸 : ピーク10分 : MAX15分
アルカリ剤によって1剤の放置タイムやチェックの仕方を変える必要もあるということです。
アンモニアを使ったパーマ剤の施術では10分以降タイムをおいてもかかりに期待はできないので クリープor薬剤の重ねづけ、pHのコントロールをしましょう。
こんなこと考えたこともなかった・・・
いつもなんとなく時間を置いていたけど、
アルカリ剤の種類によって放置時間の管理をしていけばいいんだね!
適切な放置時間やオーバータイムがわかると施術のしやすさがアップデートできる。
かかっていないときの施対策も取りやすくなるよ!
【6】pHのコントロール
酸性、アルカリ性、中性を識別するための値です。
pH(ペーハー)?
小学生の頃に理科でリトマス試験紙の実験でやったよね!
髪の毛の等電点は約pH5.5で弱酸性です。
pHの役割はアルカリ性に髪の毛のpHを振ってキューティクルを浮かせることです。
還元剤には得意なpH領域があります。
・チオグリコール酸 pH7〜9
・システイン pH9
・システアミン pH6〜9
還元剤のpHが得意な領域であれば、還元剤の力をフルに使えます。
だいたいのパーマ剤は還元剤に対して得意な領域で作られているのでそんなに意識することはありませんが重ねづけしたり、ミックスする場合は少し意識する必要があります。
【7】まとめ
・髪質に合わせた還元剤を選ぶ
・目指すスタイルに必要な還元値を決める
・履歴・ダメージ度合いに合わせたアルカリ値を設定
・アルカリ剤に合わせてタイムを管理
・還元剤に合わせたpHコントロール
今までとパーマ剤の見かたが変わった!
まずは還元剤、還元値、アルカリ値を意識してパーマ剤を選ぶようにすればいいんだね!
そうだね!
慣れてきたらアルカリ剤、pHも意識していくといいね。
これを読んでまずやることは自分のサロンで使っているパーマ剤のスペックを知ること
パーマを失敗しないためにやるべき、はじめの一歩です。
これを頭に入れたうえでの実際のお客様に落とし込むには、どうしたらいいのかブログにしていますので合わせてご覧ください。
参考記事
これを参考にぜひお客様の信頼勝ち取っていただければと思います!
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