【超マニアック美容師向け】酸熱トリートメント徹底解説 (グリオキシル酸・レブリン酸・グリコール酸・ジカルボン酸・マレイン酸)

今回はかなりマニアックな内容ですが去年から加熱気味なので、酸熱トリートメントについてまとめていきます。

この記事を読んだ後に

・酸熱トリートメント仕組みがわかる

・酸熱トリートメントのメリット・デメリットが理解できる

【1】グリオキシル酸・レブリン酸・グリコール酸

 

いきなりですが、グリオキシル酸・レブリン酸・グリコール酸はこういう構造になっています

これが何を示しているかというと

髪の毛の中のOとHに上記の

HとOが結合、架橋できます

それによって本来は水が出入りする場所を各酸が結合(架橋)することによって自然水を封鎖することができるので髪の毛に余分な水分が入りずらくなり、髪の毛を擬似的に疎水性に振ることができるのが酸トリートメントの最大の特徴です。

これをなぜトリートメントというかというと髪の毛は

  • 健康な場合→疎水性
  • ダメージ毛→親水性

になってくるので髪の毛を疎水性に近づけるということは擬似的に健康毛に似た環境を髪の毛に作れるということでトリートメントなんていわれたりしてるんですね

ネットでメーカーさんや美容師さんの売り方とみていると、アルカリを使わないでストレートにできるみたいな感じでプッシュしていますが、酸性トリートメントの一番の本質はここだと思います。

【2】なぜストレートになるのか?

高温のストレートアイロンで水分を髪の毛から完全に抜くことによって、各酸が結合(架橋)を形成していきます。

  • グリオキシル酸 → メチレン架橋 イミン結合 水素結合
  • レブリン酸   → イミン結合 水素結合
  • グリコール酸  → アミド結合 水素結合

ストレートアイロンで水分を抜くことによってストレートな状態で水分が抜けてこの結合(架橋)が成立します。

この結合(架橋)によって髪の毛の形が支えられる場合に還元剤を使わずにクセが収ります

 

【3】メリット・デメリット

メリット

  • 還元剤を使わないで髪の毛の骨格をストレートに矯正できる
  • 髪の毛を疎水性に振れる(擬似健康毛)
  • 髪の毛にハリコシがでる

・還元剤を使わないで髪の毛の骨格をストレートに矯正できる

還元剤、アルカリ剤を使わないので薬剤でのダメージはなさそうです

起こるのはpHの移動くらいです

・髪の毛を疎水性に振れる(擬似健康毛)

上記しましたが、擬似的に髪の毛を疎水性に振れます。

・髪の毛にハリコシがでる

今までになかった結合(架橋)が発生することで、髪の毛にハリコシがでます。

デメリット

  • 結合、架橋が弱い
  • グリオキシル酸の残臭がすごい
  • ストレートにするには回数が必要
  • アイロンが超高温
  • カラーが落ちる

・結合、架橋が弱い

イミン結合は加水分解に弱く長く持続させるのは現段階では難しいです

一発目の効果は弱いですが、回数を重ねていくことが前提なのであれば加水分解に強いグリコール酸のアミド結合での酸性ストレートが理論上有効です。

2019 8/2 追記

グリオキシル酸、レブリン酸が持つアミノ基の手の数が2つあるのでアミノ基の手が一つしかないグリコール酸

より結合・架橋が強いという説も出てきました。

追記の情報の方が最新版では有りますが、酸トリはまだ未開の部分も多くどちらが絶対に正しくて、どちらが正しくないというのは言い切れないのが現状です。

最新情報があればまた更新していきたいと思いますが、ここは原点に戻って体感と経験を信じて施術していきましょう。

現時点で僕は、グリオキシル酸での酸熱トリートメントが無難かと思います。

・グリオキシル酸の残臭がすごい

お客様にとってこれは大きなデメリットです

いくら髪の毛にダメージが少なくていいものでも四六時中髪の毛が臭いのは絶対にNGです

僕が酸熱トリートメントをまだ推しきれないのはこれが大きな要因の一つです。

・ストレートにするには回数が必要

現段階では弱い結合を使っての施術なので、持続性も弱いです

持続性に関しては今後の進化に期待です

・アイロンが超高温

薬剤でのダメージはほとんどないにしても超高温でのアイロンワークは少し心配なところがあります

  • 縮毛矯正のアイロンの平均温度が170〜180度
  • 酸熱のアイロンの平均温度は190〜210度

酸熱トリートメントのアイロンワークのイメージとしては水抜きが一番の目的なので縮毛矯正ほどプレスかけませんがでかなりの高温でかみやっていくというのは少し心配です

・カラーが落ちる

これは僕の感覚ですが、髪の毛の自由水を各結合、架橋で封鎖することでその近辺にあったカラーの染料が押し出されてしまっているのではないかと思います。

 

【4】結局どうなの?

これがみなさんの気になるところだと思います。

個人的な見解ですが、まだ完全に完成した技術ではないようにも思います。

髪質や仕上がりのゴールに対して、

デメリット < メリット

のようなバランスになれば使える技術かと思いますが、現状況ではメリットのストライクゾーンが少し狭いように感じます。

  • 細毛
  • エイジング毛
  • ダメージ毛
  • 欧米人

の方の場合は現状でも結構使えると思います。

上記のように髪の毛はもともと持っているシスチン結合の割合が少ない予想がつくので、酸トリの各結合、架橋が負けづらいので効果はわかりやすく出る印象です。

応用ですがカラーが落ちやすいデメリットを使って、ノンダメージで黒染めを落とすみたいなこともできます。

※そのあとのオンカラーは普通にカラーするよりもブレは起こるので気をつけてください

 

僕が思う酸トリの使い所

  • 細毛、ダメージ毛、加齢毛、欧米人
  • 軽く癖を落ち着かせたい
  • アルカリカラーを脱落させたい

【5】ジカルボン酸・マレイン酸

番外編でジカルボン酸・マレイン酸についてもご紹介

上記の3つの酸は全然作用が違います

※マレイン酸はジカルボン酸の一種

キレート効果

イオンの話です

パーマやカラーの施術を行うと髪の毛がマイナスの電子に振られます

シャンプー台で流すときにパーマやカラーでマイナスに振れた髪の毛に水道水に含まれるプラスの電子を持った、マグネシウムやカルシウムが髪の毛にくっついてしまう事でゴワつきや、ダメージの原因になります

キレートはそれが髪の毛にくっつく前に取り除いてくれることです。

それによりゴワつき、ダメージを抑える事ができます。

 

SS結合にアプローチをして髪の毛のダメージを防ぐ

マレイン酸とモノエタノールアミンを配合するとSH基に作用するので、過酸化水素によって発生してしまうシステイン酸を未然に防ぐことができます。

システイン酸はもともと髪の毛が持っているアミノ酸であるシスチンを過剰に酸化すると発生してしまいます。

ブリーチなどを行う場合には効果絶大です。

 

【6】まとめ

去年から何かと酸について業界では話題になっているので、簡単にはなりましたがまとめてみました

現段階ではまだ全美容師必修の領域ではないというのが僕の見解です

メリット / デメリットを理解して必要な時に施術できるようにしておけばより幅広いお客様のニーズに答えられることは間違いありません。

新情報があれば随時更新していきます。

 

 

 

 

3 COMMENTS

赤木

始めまして。
(今更?)酸熱トリートメントについて勉強をはじめ、検索しているとこちらのブログにたどり着きました。

非常にわかりやすく読ませて頂きましたが。。。

架橋について疑問があります。

(全く、ケミカルについて無知な美容師の質問だと思ってください。)

アミノ基の手の数のくだりなのですが、よくトリメンやコールドに入っている、主な酸であるクエン酸は3つ、リンゴ酸は2つ、コハク酸も2つアミノ基の手があると思うのですが(ウィキペディアによる)、脱水すれば架橋するのでしょうか?

酸熱トリートメントに使用されている酸は、何が特殊なのでしょうか?

実際に使用して良い結果は出ているのですが、なぜそうなるのか、調べれば調べるほど訳がわからなくなり、ご相談させて頂きました。

宜しくお願い致します。

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MASAOMI MORI

赤木様
ブログ読んでいただきありがとうございます。

結論からいうと

現段階で赤木様のご質問に明確に答えられるまでに業界の研究は進んでいないと思います!

僕も毛髪科学の専門家では無いのでなんとも言えませんが、
個人的見解はいわゆる酸熱トリートメントの効果はある程度でるのではないかと思います。
クエン酸もリンゴ酸もコハク酸も分子量は3桁クラス(レブリン酸も3桁)です。
クセが伸びるほどの効果はグリオキシル酸ほどは見込めないと思います。

架橋の観点からみれば、分子量が小さくアミノ基の数が多いグリオキシル酸が一番現在優位性が高いのではないかと考えるのが今は一般的みたいです。

しかし酸熱はまだ未知の部分が多く全てが解析されていないのが現状です。
なので今回はあくまでも架橋という側面から酸熱をみた話になってしまうので、幅広い視点からはこれが正確かはなんとも言えないです。

今普及している酸の何が特殊なのか正直まだ解明されていない状態で使われているのが現状だと思います。

違う側面から見るとグリコール酸が一番効果があるなどおっしゃる先生もいるみたいです。
(各酸による髪の毛との相性など)

違う側面からの観測方法も模索しているのが現在の美容業界の先端なので赤木様のように詳しい方は違う酸でのテストなどされている方もいらっしゃると思うので今後リンゴ酸やコハク酸で酸熱商材が出てくることもあるかもしれません。

昨日アリミノの方に酸熱について聞く機会がありましたがアリミノさんのように大きな研究所でも酸熱についてはまだ未知が多いとのことだったので、アンテナは張りつつ、焦らず業界の発展を待つことしかできなそうです^^;

参考になるかわかりませんがこれが僕の現在の考えです。

返信する
赤木

回答ありがとうございます。

分子量も関係してくるのですね?
奥が深いです。。。

理論が確立されるまでまだ少しかかりそうですね?
すでにお店ではメニュー化しちゃってるんですけどね(笑)

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